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フォトキナ:富士フイルムは、新デジタル一眼と顔認識コンパクトに注目!

デジタルカメラの高感度路線を打ち出してから、時代をリードするデジカメを数多く発売している富士フイルム。フォトキナでの注目は、やはりデジタル一眼レフカメラの新製品「FinePix S5 Pro」(以下、S5 Pro)の開発発表だろう。

 特に期待できるのが、ボディーのメカ部の完成度だ。従来モデルの「FinePix S3 Pro」以前は、ニコンのフィルムカメラ「F80」をベースに開発が行われていたのだが、さすがにF80自体の設計が古いうえ、露出補正のステップで1/3段が選べないなど、操作性に関する不満がいろいろと聞かれていた。

 ところが、今回登場したS5 Proは、まだ正式なアナウンスこそないものの、展示されていた実機を見る限りでは、ニコンの高性能デジタル一眼レフカメラ「D200」をベースに開発したものだと思われる。

撮像素子は、富士フイルム独自のハニカム配列によるもので、従来の「スーパーCCDハニカムSR II」から「Super CCD SR Pro」に世代が進化した。これは、低感度用と高感度用の画素の2つでひと組とし、ダイナミックレンジの向上を図ったものだ。総画素こそ1234万画素と従来通りだが、特にノイズ特性の向上が図られている。

 撮像素子以外に関しては、ローパスフィルターも新規設計となり、画像処理エンジンも同社の高感度コンパクト機で好評のエンジンをさらに進化させた「Real Photo Processor Pro」が搭載されている。また、30秒間の時間制限付きながら、背面の液晶モニターにライブビュー表示が可能になっている点も注目したい。

 また、同社のデジタル一眼レフカメラは、写真館の業務用途としての利用が多いという過去の実績から、ポートレート用のフィルム画質モードにライティング別の設定を用意するなど、ユーザーの使い方をよく研究していると感じられた。また、顔検出機能を搭載しており、再生時に顔の部分を自動的に拡大再生できるので、ピントの確認や表情、目をつぶっていないかなどのチェックにも最適な仕様となっている。

ほかには、ベストセラーのコンパクトデジタルカメラ「FinePix F30」の後継機と思われる「FinePix F31fd」の展示が人気だった。外観こそF30とあまり変わりないが、顔認識機能と高速赤外線通信機能「IrSimple」を搭載したのがポイントだ。顔認識機能は「FinePix S6000fd/S6500fd」に、IrSimpleは「FinePix Z3」にそれぞれ搭載されているものだが、これらの機能をすべて盛り込んだ強力モデルに進化していた。

 IrSimpleは、同社のポータブルプリンター「Pivi MP-300」や、NTTドコモの携帯電話などに搭載され、600万画素相当のJPEG画像でも3〜4秒ほどで転送できる高速通信規格だ。画像データの交換やワイヤレスでのプリントに便利に使えそうだ。

デジタルカメラ関連のコーナーは、顔認識のデモが盛んだった。同種の技術は、ニコンやペンタックス、キヤノンなどが続々と搭載してきているので、今後の注目機能となっていくことは間違いないだろう。(吉村 永)

2006/10/04、デジタルARENA