金曜日

2007年,ITリーダーの行動計画 Part6:「コンシューマIT」の威力を知り,準備する

 コンシューマITは,言うまでもなく生活やワークスタイルを大きく変化させています。ネットで買い物は当たり前になりました。こと「アクセス・デバイス」としての携帯電話の活用については,米国より日本の方が進んでいます。

 ネットの普及が起こした生活の変化は様々ですが,特にITリーダーが理解しておくべきは,ビジネスに対して個人の与える影響力が極めて大きくなった,ということです。例えば「口コミ」です。ガートナーのチームが調査した結果によると,日本のビジネスパーソンは商品やサービスの情報を調べる際,5人に4人は,1番最初にネット検索を使っています。新聞や雑誌,情報誌は1番ではないのです。ネット上でどんな評判があるかを調べ,その後雑誌などのメディアで確認し,そして購買に至るというプロセスが一般的になりつつあるのです。

 消費者の購買に至るプロセスがこのように変化してきたため,これまでの広告・宣伝のアプローチは,根本的に変える必要性に迫られています。顧客参加型のネット・コミュニティや,「アルファ・ブロガー(多数の読者を持つ人気ブログの著者)」に商品評価してもらうというのがその例です。

 ほかにも,デジタルカメラとインターネットの普及は,既存の写真屋における「現像してプリントする」というビジネスを大きく揺るがしています。デジカメで撮った画像データをパソコンに移し,ネットを使ってプリント・サービス会社に送信。印刷された写真は,コンビニエンス・ストアで受け取る。このようなサービスが登場しています。さらに面白いのは,印刷された写真の下に広告が入ってもいいのなら,現像代はタダ。このようなビジネスモデルは注目に値するものでしょう。

 さらにデバイス,パイプ(ネットワークなど要素を互いにつなげる役目を果たすもの),コンテンツの普及により,これから企業は世界中の顧客を相手にビジネスができます。流通コストや販売管理コストなどを極小化し,小額取引でも収益性が十分確保できる仕組みを企業は作り出すことでしょう。

 つまり,コンシューマITは従来型のビジネスモデルを壊し,新しく生まれ変わらせるほどのパワーがあるのです。これまでのビジネスモデルは役に立たない。足下で起きているこの動きを,ITリーダーも十分理解しておくべきです。

ITpro - 2007年1月16日