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コンパクトデジカメ市場頭打ち


老舗のカメラメーカーのペンタックスが光学ガラス最大手HOYAとの合併を決めるなど、カメラ業界で再編が加速している。(水上嘉久)

 1990年代後半に、カメラの主力商品が銀塩カメラからデジタルカメラに大きく転換したことを契機に、カメラメーカーだけでなく、ソニー松下電器産業など大手電機メーカーが相次いで市場に参入、開発・価格競争が激化したことが背景にある。

ぺンタックスは、旧社名が旭光学工業で国産初の一眼レフ「アサヒフレックス1」を52年に発売した先駆け的メーカーだ。71年には一眼レフとして世界初の自動露出機能を搭載した「アサヒペンタックスES」を発売、60?70年代にかけてトップクラスのシェア(市場占有率)を誇ってきた。

 しかし、直近ではコンパクトカメラ市場で業界8位にまで後退、2006年3月期にはカメラ事業の営業利益が約12億円の赤字に転落していた。

背景には、銀塩からデジカメへの急速な市場の転換がある。日本国内の銀塩カメラ出荷台数は2001年にデジカメに抜かれ、5年後の06年にはデジカメの約50分の1にまで縮んだと推計されている。市場縮小に、銀塩カメラを古くから手がけていた老舗メーカーほどついて行けなくなった。

 デジカメ製造に必要なCCD(電荷結合素子)などの半導体技術を持っていなかったコニカミノルタホールディングスは昨年3月にカメラ事業から撤退した。「α」シリーズで知られるデジタル一眼レフカメラ事業をソニーに譲渡し、今年9月末までに写真用フィルムの販売をやめる。「ヤシカ」を買収し「コンタックス」ブランドで知られる京セラも、05年にカメラ事業から全面撤退した。

 写真館などで使われる中判カメラメーカーでは、マミヤ・オーピーが「デジカメの高画素化の波に太刀打ちできなくなった」ため、光学機器事業を昨年9月にIT関連企業へ譲渡した。

ただ、デジカメ市場も普及が一巡し、販売の伸びは鈍化している。野村総合研究所は、世界のデジカメ販売台数は、08年の9140万台をピークに減少すると予測する。中でも、売れ筋のコンパクトカメラは価格競争が激しい。世界有数のOEM(相手先ブランドによる生産)メーカーで、03年度まで世界市場でのシェアが実質トップだった三洋電機は「低価格が売りの台湾メーカーに押されつつある」と危機感を強める。

 こうした中、「残された成長分野は、デジタル一眼レフカメラ」(近野泰・野村総研上級コンサルタント)だ。本体の単価が高く、レンズなど周辺機器の買い増しも期待できるため、高い利益率が見込める。

 一眼レフ市場では、キヤノンニコンの“2強”と、ソニーや松下など新規参入組とのシェアの開きは大きい。合従連衡の焦点が、今後はコンパクトカメラから一眼レフカメラに移っていくとの見方も出ている。

読売新聞 - 2007年1月23日