日曜日

写真展リアルタイムレポート


 石塚元太良さんといえば、筆者の中では「デジタル時代の新しい表現者」という確固たる位置づけがあった。世界を放浪し、その旅の断片をデジタルカメラで撮影した作品で颯爽と登場したからだ。2001年「エプソンカラーイメージングコンテスト」は「World Wide Wonderful」でグランプリ、第1回「ビジュアルアートフォトアワード2003」では「world wide warp」で一般部門大賞を受賞した。
 そして今回、約4年ぶりとなる新作が「wwwww」。「石塚さん、満を持しちゃってたんだな?」と思いながら、石塚さんに会うため個展会場のロータスルートギャラリーに足を運んだ。

 会期は11月7日(火)?19日(日)。月曜休館。開館時間は12?19時。なお会場では12日(日)17時から「DOES」アコースティックライブ、19日(日)17時から写真家の大森克己さんと石塚さんのトークイベントを行なう。いずれも入場無料。

 ギャラリーにはカラーのポートレートが5点と、パノラマサイズで撮られた壁の写真が1点。この雰囲気は、完全にコンセプチュアルアートの佇まいだ。予想外の展示空間に一瞬たじろぎつつも、デジタル表現の痕跡をかぎつけるため作品を見つめ、空間を感じ取ろうとアンテナを伸ばす。

 「これは4×5のカメラで撮ったものです。ネガフィルムで、プリントも自分でしています」石塚さんはずっとフィルムカメラで撮影し、デジタルカメラを使ったのは受賞した2作品のみだという。

 私の持っていた石塚さんの情報は、写真集「world wide warp」と、エプソンカラーイメージングコンテストの講評で藤原新也さんが語っていたエピソードだけだ。「カメラメーカーのカメラはデジタルでも写真っぽく写ってしまう。だから、敢えて電機メーカーのカメラを選んだ」。

 ご存知のとおり2000年は、コンシューマー用のデジタル一眼レフは存在せず、コンパクトカメラは200万画素が主流だった頃。その時のデジカメで、カメラメーカーが持つ銀塩写真の感性を感じ取っているのだから、実はこのエピソードだけでも石塚さんの写真的バックボーンは想定できるはずなのだが……。


AKIBA PC Hotline! - 2006年11月10日