金曜日

松下電器 ビクター売却で始まる電機大再編

先週土曜日(23日)、“ビクター・ショック”が走った。
 22日発行の本紙連載(「M&A大時代の目玉企業」)で指摘した通り、松下電器による音響・映像(AV)メーカーの名門、日本ビクターの売却話が表面化した。いまなお大家族主義のイメージが残る松下が、ビクターをグループ外へ出すことで「AV業界だけじゃなく、大再編が家電業界全体で起こる」(家電幹部)という声がしきり。では、どこがどうなるのか。
 食うか食われるか。エジキになりそうなのが、経営再建中の三洋電機だ。デジカメなどの不振分野だけじゃなく、実は三洋が中軸事業とする電池技術が狙われているようなのだ。
「電池技術はさまざまな分野で必要とされるが、中でも、熱い視線を注いでいるのが自動車メーカー。ハイブリッド車向けのバッテリーづくりに生かそうとしているのです。世界でもトップレベルにある三洋の技術はノドから手が出るほど欲しいはずです」(家電関係者)
 となると、買い手はハイブリッド車開発でリードするトヨタか。
 自動車分野でいえば、日立製作所も黙っていないだろう。中期計画で自動車関連の売上高1兆円規模を目指す。カーナビ強化のためクラリオンにTOB(株式の公開買い付け)を実施したのもそう。
「ビクター株取得で名前が挙がっているケンウッドもカーステレオ技術と販路強化のため狙われても不思議ではありません。次世代をにらんでカーナビやプラズマ、さらに光ディスク技術を持つパイオニアへも触手を伸ばす可能性があるでしょう」(証券大手幹部)
 松下のビクター売却は家電大再編の序章になるのは間違いなさそうだ。

日刊ゲンダイ - 2006/12/28