デジタル一眼価格競争勃発か? エントリーモデル拡大で突入する新たな局面
11月で前年同月比168.0%と、依然として販売台数を大きく伸ばしているデジタル一眼レフカメラ。例年クリスマス前後に販売のピークを迎えるだけに、この年末商戦でもまた大きな柱になりそうだ。今年は小型軽量のカメラが増え、一眼初心者の選択肢が広がってきた。一方、しばらく安定していた価格はじりじり下げ始め、デジタル一眼は新たな局面に突入しつつある。「BCNランキング」で直近の売れ筋をチェックしながら価格動向についてもみていこう。
【図表データ】=http://bcnranking.jp/flash/09-00011835.html
●ダントツの強さを誇る1番人気は13週連続1位の「Kiss X」
12月上旬には新モデルがほぼ出揃い、デジタル一眼市場はまさに旬を迎えている。「軽くて安いモデルが増え、コンパクトカメラからの乗り換えがしやすくなった」(ビックカメラ有楽町店・デジタルカメラコーナー・長島輝明主任)こともあり、コンパクトタイプからワンランク上のカメラを求めるユーザーが増えているようだ。それでは、実際に売れているのはどんなカメラなのか? 12月第2週(06年12月4-10日)の「BCNランキング」で、売れ筋をチェックしてみた。なお集計には、レンズセット、カラーバリエーションなどを合算したシリーズ集計値を使った。
販売台数シェア27.3%で首位を獲得したのは、キヤノンの「EOS Kiss Digital X」。有効画素数1010万画素のCMOSセンサーを搭載した「EOS Kiss Digital」シリーズの最新モデルだ。9月上旬に発売して以来、13週連続で首位をキープしており、前モデル「EOS Kiss Digital N」同様、他を寄せ付けない圧倒的な強さを維持している。
デジタル一眼レフカメラと言えば、ゴツイ、重いなどのイメージがある。しかし、本体サイズは幅126.5×高さ94.2×奥行き65mmで重さも510gとコンパクトで軽い。また、ノイズが少なく、高い描写力、高精細で自然な色合いを実現する映像エンジン「DIGIC II」を搭載し、色むらや色かぶりを抑えた自然な色合いの写真が撮れるのが特徴だ。
また「ゴミ除去機能を搭載したことが評価されている」(長島主任)ようだ。一眼レフカメラはレンズを交換する際にカメラ内部にホコリなどのゴミが侵入し、撮像素子に付着してしまうことがある。そのまま撮影すると画像にゴミが写り込んでしまう。そこで、ゴミ付着の原因となる静電気の発生を防止する帯電防止機構を採用。さらに、撮像素子に付着したゴミを振るい落とす「セルフクリーニングセンサーユニット」も装備した。電源の入/切のタイミングで自動的にユニットが作動し、ゴミを振るい落とし映り込みを防止することができるわけだ。
購入者層が、フィルムカメラからの「乗り換え組」と、コンパクトデジカメからの「ステップアップ組」に分けられるデジタル一眼。ボリュームが大きいのはステップアップ組と見られる。例えば、ボディのみとレンズセットの販売構成比を見ると、レンズセットが64.3%を占める。06年7月から06年11月までの月次の台数構成比推移でも、レンズセットは60%前後で推移している。必ずしもこの全てとはいえないが、かなりの部分は「初めての一眼レフ購入」ではないかと思われる。
一方、デジタル一眼とコンパクトデジカメの平均価格推移をみると、コンパクトデジカメが3万円台前半で安定しているのに対し、デジタル一眼レフカメラは徐々に価格を下げ、06年11月では1月よりも1万円ほど安く11万円前後になっている。
12月第2週のデジタル一眼レフカメラ・レンズセットの平均価格は10万円前後。なかには5-6万円で購入できる低価格モデルもある。コンパクトカメラの予算にあと2-3万円足すと、デジタル一眼レフカメラのレンズセットが購入できるわけだ。こうなってくると、コンパクトタイプでは飽き足らなくなった層にとっては、デジタル一眼に乗り換えやすい環境がかなり整ってきたといえる。デジタル一眼レフ、特にエントリークラスの機種については、いよいよ価格競争の場面に突入したとみてよさそうだ。
朝日新聞 - 2006/12/20
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