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“Watch的報道カメラ”の10年

 デジタルカメラはWatchシリーズと不可分の道具だ。取材先に単身乗り込んだ記者やライターが速報を書き、デジカメで撮影した画像とともに、世界中からインターネットで編集部に送りつけ、掲載する。そんなスタイルを確立できたのも、デジカメあってこそ。コンシューマー向けデジカメの嚆矢「カシオ QV-10」の発売がWatchを生んだ、とも言えるかもしれない。ここではそんなWatchシリーズの“報道カメラ史”を書いてみよう。

これは後継機のQV-10A。QV-10の写真はさすがにPC Watchにもない
 「報道カメラ」といえばニコンFシリーズやキヤノンEOS-1のような、ゴツくて頑丈なカメラを思い浮かべるが、Watchシリーズの報道カメラのほとんどは、そうしたゴツいカメラと比べるとおもちゃのようなデジカメたちだ。

 今でこそコンパクトデジカメで取材する記者は珍しくないけれど、Watchシリーズ立ち上げの頃は、冒頭にあげたようなゴツい報道カメラの放列の隙間で、けげんな視線を浴びながら小さなカメラをかざして撮影していたのだった。

 ごく初期の頃は、レンズ付きフィルムで撮影し、45分DPEでプリントした写真をスキャンして、使ったこともあったという。が、基本はQV-10による取材だった。

 WatchシリーズではQV-10以外にも、カシオ QV-10A、QV-30、オリンパス C-800L、ニコン COOLPIX800などが使用されている。普通、報道機関のカメラというものは1社の製品に統一されるものだが、Watchにはさまざまなメーカーの、非常に多様なデジカメが集まっている。理由の1つには、この頃はデジカメの性能向上が著しく、またWatch編集部の人数も増えており、新規に購入する際にはなるべく最新の機種を、メーカーにこだわらずに導入していったということがあげられるだろう。また、編集部で購入した機材だけでなく、編集部員が個人的に購入したデジカメを取材に使用したこともある。

 いまや1.8インチ前後と2.5インチ前後に統一された感のあるコンパクトデジカメのCCDだが、'90年代はさまざまな光学サイズが採用されていたことがわかる。画素数の表記がまちまちなのも時代を感じさせる。デジタルカメラの画素数表記で有効画素数を優先させるように決められたのは2001年のことだ。

AKIBA PC Hotline! - 2006年12月21日